クラウドファンディングと補助金は併用できるか。手数料の扱い

クラウドファンディングと補助金を同時に使えるかは、多くの起案者が申請前に迷う点です。併用自体は可能ですが、小規模事業者持続化補助金では「クラウドファンディングで発生しうる手数料」が補助対象外経費として公募要領に明記されています。ものづくり補助金には同じ記載がなく、扱いが分かれます。この記事では両制度の公募要領原文と、自治体のクラウドファンディング活用支援(手数料補助)の実例を確認日付きで整理します。
クラウドファンディングと補助金は併用できるか
併用そのものは禁止されていません。国の補助金制度は「補助対象経費」を個別に定めており、クラウドファンディングにかかる費用がその経費区分に含まれるかどうかで、実質的に使える・使えないが決まります。つまり「補助金とクラファンは併用できるか」という問いは、正確には「クラファン関連の支出を、その補助金の対象経費として申請できるか」という問いに置き換わります。
制度ごとに扱いが違う
同じ「クラウドファンディング関連費用」でも、制度によって結論が違います。小規模事業者持続化補助金は経費区分の一覧で明確に対象外と定めているのに対し、ものづくり補助金の公募要領には該当する記載自体がありません。後述するとおり、この違いは公募要領の文言を実際に確認しないと分かりません。比較記事の多くは「補助金は使える」とだけ書いていますが、どの経費が対象かまで踏み込んでいないケースが目立ちます。
二重取りにならない範囲で使う
複数の資金調達を組み合わせるときに共通して注意したいのは、同一の経費を二重に受給しないことです。持続化補助金の公募要領は「交付決定前に発注・契約、購入、支払いを実施したもの」を補助対象外とする規定に加え、他の公的資金と同一経費を重複して受け取ることを禁じる考え方を採っています。自治体のクラウドファンディング活用支援でも、後述する滋賀県の制度のように「他の公的支援を受けていないこと」を条件にする例があります。
注意 補助対象経費の範囲や重複受給の可否は制度によって条件が異なります。本記事の内容は2026年9月25日時点で各公募要領・自治体ページに記載されていたものです。年度が変わると内容が変更されることがあるため、申請前に必ず最新の公募要領を確認してください。
小規模事業者持続化補助金でのクラウドファンディング費用の扱い
小規模事業者持続化補助金<一般型・通常枠>の公募要領(第19回公募、第6版)を確認したところ、「補助対象外となる経費」の一覧に「クラウドファンディングで発生しうる手数料(返礼品、特典等を含む)」という一文がそのまま記載されていました(2026年9月25日確認)。プラットフォームの利用手数料・決済手数料はもちろん、返礼品やリターンの原価も含めて対象外という書き方です。
手数料は補助対象外と明記されている
この記載が示すのは、クラウドファンディングにかかる費用を持続化補助金の経費として申請できないという一点で、クラウドファンディング自体を使ってはいけないという話ではありません。持続化補助金の対象外経費リストには、このほかに振込手数料・成功報酬型の費用・キャンセルに係る取引手数料なども並んでおり、クラウドファンディング手数料はその並びの一項目として明記されています。売上高や支援額に応じて課金される費用という性質が、他の成功報酬型経費と同じ扱いになった理由と考えられます。
| 制度 | 対象経費リストへの記載 | 確認日 |
|---|---|---|
| 持続化補助金<一般型・通常枠>第19回 | 補助対象外「クラウドファンディングで発生しうる手数料(返礼品、特典等を含む)」 | 2026年9月25日 |
| ものづくり補助金 第23次 | 記載なし(全文検索で不記載を確認) | 2026年9月25日 |
ページ制作費・広報費の扱いは公募要領で確認
一方で、クラウドファンディングのプロジェクトページを外部の代行会社に制作してもらう費用が、持続化補助金の「ウェブサイト関連費」(販路開拓のためのウェブサイトやECサイトの開発・構築費用)に該当するかどうかは、公募要領に個別の記載がありません。広報費の項目は「単なる会社のPRや営業活動に活用される広報費は補助対象外」としているため、クラウドファンディングのページ制作を独立した外注費として申請できるかは、公募要領の記載だけでは断定できません。実際に計上したい場合は、事前に商工会・商工会議所や補助金事務局へ個別に確認することをおすすめします。
「手数料は対象外」と「ページ制作費も対象外」は別の話です。手数料は公募要領に明記されている一方、ページ制作費の扱いは記載がないので、思い込みで申請書に書かず、事務局への確認を先にしてください。
ものづくり補助金でのクラウドファンディング費用の扱い
ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金の第23次公募要領(公募期間2026年2月6日から5月8日)を全文で確認しましたが、「クラウドファンディング」という語の記載は本文中に一つもありませんでした(2026年9月25日確認)。行政書士事務所などのブログでは、クラウドファンディングでの実績が書面審査の市場ニーズ検証の材料になりうるという解説を見かけます。ただし加点項目として明記されているわけではなく、当サイトで確認した加点項目の一覧(経営革新計画、パートナーシップ構築宣言、DX認定など)にもクラウドファンディングは含まれていません。
公募要領にクラウドファンディングの記載はない
記載がないということは「自由に経費計上できる」という意味ではありません。ものづくり補助金の対象経費は、機械装置・システム構築費が中心で、それ以外の諸経費は原則として対象外です。クラウドファンディングの手数料や広報費用のような支出は、この「機械装置・システム構築費以外の諸経費」という対象外規定に該当しやすいと考えられます。ただし公募要領に個別の記載がなく、当サイトとして対象外と言い切れる根拠はありません。判断が分かれる支出になるため、申請前に公募要領の最新版と事務局窓口で確認してください。
対象外経費の考え方から見た整理
ものづくり補助金の対象外経費リストには「振込等手数料」「事業に係る自社の人件費」「報告書等の事務局に提出する書類作成・申請に係る費用」などが並んでいます。クラウドファンディングのプラットフォーム手数料は性質としてこれらの振込・決済手数料に近く、ページ制作を外注する費用は「ウェブサイト、システム開発等に関連する経費」に近い性質を持ちます。似た経費区分から類推すると、手数料は対象外になりやすく、ページ制作の外注費は個別判断になりやすいという整理になりますが、これはあくまで当サイトの読み方であり、確定的な結論ではありません。
費目ごとに当サイトが確認できた範囲を整理すると、次のようになります。
| 費用項目 | 持続化補助金 | ものづくり補助金 | 備考 |
|---|---|---|---|
| プラットフォーム手数料 | 対象外(明記あり) | 記載なし(対象外になりやすいと推測) | 断定は事務局へ確認 |
| ページ制作費(外注) | 記載なし(要確認) | 記載なし(要確認) | ウェブサイト関連費等に該当するか個別判断 |
| 広告費・PR費 | 販路開拓目的なら対象の余地あり | 記載なし | 単なる会社PRは対象外 |
| リターンの原価 | 対象外(手数料と同じ記載に含む) | 記載なし | 持続化補助金は明記あり |
公募要領に書かれていない論点は、Web上の解説記事同士でも見解が分かれます。当サイトが確認できたのは「記載が無い」という事実までで、それ以上の解釈は事務局への確認が必須です。
自治体のクラウドファンディング活用支援(手数料補助)
国の補助金とは別に、自治体がクラウドファンディングの手数料そのものを補助する制度があります。これは「クラウドファンディングの手数料を補助金の対象経費にできるか」という問いとは逆方向の制度で、手数料の負担を自治体が肩代わりする仕組みです。対象経費・補助率・上限額は自治体ごとに異なるため、居住地・事業所所在地の制度を個別に確認する必要があります。
東京都中小企業振興公社の手数料助成
東京都中小企業振興公社の「クラウドファンディング活用支援」は、プロジェクト実行にかかる手数料(消費税を除く)の2分の1、上限40万円を助成します。対象は同公社の中小企業ニューマーケット開拓支援事業で支援中の製品がある企業で、クラウドファンディング事業者はCAMPFIREに限定されています(2026年9月25日確認)。令和8年度の募集はすでに締め切られているため、次回募集の時期は公社の公式ページで確認が必要です。
滋賀県北部地域・荒川区の例
滋賀県の「クラウドファンディング活用型北の近江振興事業補助金」は、長浜市・高島市・米原市でプロジェクトを実施する個人・団体・企業等を対象に、利用手数料・決済手数料等の2分の1以内、上限100万円を補助します。初期費用や広告宣伝費は対象外で、令和8年4月1日から11月30日まで募集する制度です(2026年9月25日確認)。
東京都の荒川区の「クラウドファンディング活用支援補助金」は、利用手数料に加えてプロジェクトページ作成費用・広告活動費用まで対象に含めているのが特徴で、通常枠は補助率2分の1・上限20万円、新製品新技術大賞受賞などの条件を満たす特例枠は補助率3分の2・上限30万円です(2026年9月25日確認)。
| 自治体 | 対象経費 | 補助率 | 上限額 |
|---|---|---|---|
| 東京都中小企業振興公社 | 手数料(消費税除く) | 1/2 | 40万円 |
| 滋賀県(長浜市・高島市・米原市) | 手数料(利用・決済等) | 1/2以内 | 100万円 |
| 荒川区(通常枠) | 手数料・ページ作成費・広告費 | 1/2 | 20万円 |
荒川区の制度はページ制作費・広告費まで対象に含む珍しい設計です。プラットフォーム手数料しか対象にしない自治体が多い中、代行会社への外注費が助成対象になるかどうかは、制度ごとに個別に確認してください。
自治体の制度は、国の補助金でクラウドファンディング手数料が対象外とされているのとは別の入り口として使えます。ただし対象地域が限定されているものが多く、当サイト掲載の52社を探しても、これらの自治体の制度自体を代行会社が案内してくれるとは限りません。申請書類の作成は自治体の窓口か、行政書士など補助金申請を専門にする専門家に相談するのが基本です。
自分で申請する人・専門家に相談する人
補助金や自治体の手数料助成の申請は、クラウドファンディングの代行会社が対応する業務とは別物です。当サイト掲載52社のうち、審査対応・申請代行に対応する会社はクラウドファンディングのプラットフォーム審査を指しており、補助金の申請代行を行う会社ではありません。ここでは公募要領の読み込みと申請書類の作成を、自分で進めるか専門家に頼むかの目安を示します。
- 過去に持続化補助金やものづくり補助金の申請経験がある
- 対象経費の区分を公募要領で自分で判定できる
- 事業計画書の作成に時間を確保できる
- 商工会・商工会議所の窓口相談を利用できる
自分で申請できる人
- 公募要領を読んで対象経費を自分で判定できる
- 事業計画書の作成に週数時間を確保できる
- 商工会・商工会議所の窓口相談を予定している
持続化補助金は商工会・商工会議所の支援を受けながら自分で申請する事業者が多い制度です。クラウドファンディングのやり方自体はやり方の記事で確認できます。
専門家への相談を検討する人
- 事業計画書の作成に十分な時間が取れない
- 複数の補助金を同時に検討していて経費区分の整理が難しい
- クラウドファンディングのページ制作・広報まで一括で依頼したい
補助金の申請自体は行政書士など専門家の領域です。クラウドファンディングのページ制作や広報を依頼したい場合はページ制作に対応する代行会社42社から探せます。
代行会社を探す
クラウドファンディングの準備を任せられる会社を、料金の公開状況で絞り込みたい場合
当サイトでは代行会社52社を、対応プラットフォーム・支援範囲・料金の公開状況で絞り込めます。初期費用を公開する16社の中央値は11.5万円です(2026年9月24日時点)。
条件で絞り込む補助金収入とクラウドファンディング収入の会計上の扱い
補助金とクラウドファンディングを両方使うと、性質の異なる2種類の入金が同じ事業年度に発生します。当サイトのクラウドファンディングの税金の記事で解説しているとおり、購入型クラウドファンディングで集めた資金はリターンの対価なので、通常の商品・サービスと同じ売上として扱われます。補助金の収入はこれとは別の性質を持つ入金で、会計処理上の勘定科目や税務上の扱いが異なります。
補助金は雑収入・クラファンは売上として区分
クラウドファンディングの売上と補助金の入金を同じ科目にまとめてしまうと、決算書や確定申告で実態と異なる表示になりかねません。どちらも事業に関係する入金である点は共通していますが、収入の性質が違う以上、区分して記帳するのが基本です。具体的な所得区分・仕訳・消費税の扱いは制度や事業形態によって変わるため、当サイトでは踏み込んだ断定を避けます。
詳しい税務上の扱いは別記事で確認
購入型・寄付型・投資型それぞれの税金の扱いと、個人・法人での違いはクラウドファンディングの税金の記事にまとめています。補助金の税務上の扱いも含め、個別の判断は税理士または税務署に確認してください。当サイトは税理士監修の記事ではなく、記帳・申告の代行業務も扱っていません。
注意 補助金・クラウドファンディングいずれも、収入の計上時期や消費税の扱いは事業形態で変わります。本記事の会計・税務に関する記述は一般的な整理であり、個別の判断は必ず税理士等の専門家に確認してください。
よくある質問
クラウドファンディングと補助金の併用について、問い合わせで多い質問を4つにまとめました。制度の内容は2026年9月25日時点で各公募要領・自治体ページに記載されていたものです。年度が変わると対象経費や補助率が変わることがあるため、申請時は最新の要領を開いて確認してください。
クラウドファンディングの手数料は補助金の対象になりますか?
小規模事業者持続化補助金<一般型・通常枠>では、公募要領の補助対象外経費リストに「クラウドファンディングで発生しうる手数料(返礼品、特典等を含む)」と明記されており、対象になりません。ものづくり補助金の公募要領には同じ記載がなく、当サイトでは断定できないため、事務局に確認してください。
クラウドファンディングと補助金は同時に申請できますか?
制度上、同時に申請すること自体は禁止されていません。ただし同一の経費を複数の公的資金から重複して受け取ることは、多くの制度で禁止されています。自治体のクラウドファンディング活用支援では、他の公的支援を受けていないことを条件にする例もあります。
クラウドファンディングの手数料を補助してくれる制度はありますか?
東京都中小企業振興公社、滋賀県北部地域(長浜市・高島市・米原市)、荒川区などが、クラウドファンディングの利用手数料の一部を補助する制度を運用しています。対象地域や対象経費、補助率・上限額は自治体ごとに異なるため、事業所所在地の制度を確認してください。
代行会社に払う費用は補助金の対象になりますか?
代行会社への支払いのうち、クラウドファンディングの手数料に相当する部分は持続化補助金では対象外です。ページ制作費など個別の外注費として計上できるかは公募要領に明記がなく、判断が分かれます。申請前に事務局へ確認したうえで進めてください。代行費用の内訳と総コストの目安は代行費用の記事で確認できます。
まとめ
小規模事業者持続化補助金は、公募要領で「クラウドファンディングで発生しうる手数料」を補助対象外経費と明記しています。ものづくり補助金には同様の記載がなく、当サイトの確認では対象外か対象かを断定できません。一方で東京都中小企業振興公社、滋賀県北部地域、荒川区などは、クラウドファンディングの手数料そのものを補助する制度を持っており、国の補助金とは別の入り口として使えます。制度は年度で変わるため、申請前に必ず最新の公募要領と自治体の募集要項を確認してください。
出典
- 小規模事業者持続化補助金<一般型・通常枠>第19回公募要領(第6版)(2026年9月25日確認)
- ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金 第23次公募要領(2026年9月25日確認)
- 東京都中小企業振興公社「クラウドファンディング活用支援」(2026年9月25日確認)
- 滋賀県「クラウドファンディング活用型北の近江振興事業補助金」(2026年9月25日確認)
- 荒川区「クラウドファンディング活用支援補助金」(2026年9月25日確認)
