クラウドファンディングの目標金額の決め方|3つの計算を突き合わせる

クラウドファンディングの目標金額は、「必要な額」だけで決めると失敗します。All-or-Nothing方式なら1円でも届かなければ不成立で、1億円を目標に5,469万円を集めて不成立になった例があります(フォレスト出版のnote)。逆に10万円を目標にして953%を達成した例もあります。この記事では、必要経費・支援者リスト・初速の3つから計算した金額を突き合わせて決める手順、ジャンル別の相場、手数料の上乗せ方、目標金額の設計を頼める会社を説明します。
クラウドファンディングの目標金額が成否を分ける理由
クラウドファンディングの目標金額は、資金の額であると同時に「達成率」の分母です。同じ300万円が集まっても、目標1,000万円なら達成率30%で未達、目標500万円なら60%です(FUNDBOOSTの記事の例)。CAMPFIREアカデミーは公開1週間で目標の30%以上が集まると目標到達しやすいと案内しており、目標が高いほど初速の30%に届きにくくなります(いずれも2026年9月25日確認)。
高すぎる目標と低すぎる目標のリスク
高すぎる目標は、All-or-Nothing方式なら不成立で全額返金、達成率が低い表示が続いて新規の支援が止まる、という2つのリスクを生みます。フォレスト出版のnoteが挙げる「1億円目標で5,469万5,000円を集めて不成立」はその極端な例です。低すぎる目標は、達成しても必要な額に届かず実行できない、支援者に「本気度が低い」と見える、というリスクがあります。ワタシバの記事は、CAMPFIREの単純平均調達金額を約95万円としています。
目標金額の平均と相場
目標金額の相場は、ジャンルで大きく違います。ワタシバの記事はCAMPFIREのカテゴリー別の平均支援金額をアニメ・漫画225万円、テクノロジー・ガジェット220万円、音楽150万円、ゲーム・サービス125万円とし、FUNDBOOSTの記事は目標金額の平均を約150〜200万円としています。noteの記事(NO WAVE)はジャンル別の目標の相場を次のように整理しています(いずれも各記事の記載、2026年9月25日確認)。
| ジャンル | 目標金額の相場 | 出典 |
|---|---|---|
| イベント企画 | 30〜100万円 | note(NO WAVE) |
| 書籍・アート制作 | 50〜150万円 | 同上 |
| 飲食店の開業 | 100〜300万円 | 同上 |
| ガジェット開発 | 200〜500万円以上 | 同上 |
| デバイス全般 | 100〜200万円 | foundplanner |
| サービス業 | 50〜100万円 | foundplanner |
相場は「そのジャンルで達成しているプロジェクトの目標」の目安で、自分の支援者の数とは関係がありません。相場を参考にしつつ、次の3つの計算で自分の数字を出します。
相場の金額をそのまま目標にするのが、いちばん多い失敗です。相場は上限の目安として使い、実際の目標は支援者リストと初速から決めてください。
目標金額を決める3つの計算
目標金額は、必要経費から積み上げる、支援者リストから逆算する、初速から逆算する、の3つの計算を別々に行い、突き合わせて決めます。makikubeの記事はこの3つの方法を、CAMPFIREアカデミーは必要費用を「実施費用+リターン費用+手数料」と案内しています(2026年9月25日確認)。3つの数字が離れているときは、離れている理由(支援者が足りない、原価が高い)が、公開前に直すべき点です。
計算1 必要経費から積み上げる
実施に最低限かかる費用、リターンの原価と送料、プラットフォーム手数料、予備費を足します。手数料はMakuakeが応援購入総額の20%(税抜)、CAMPFIREが利用手数料12%+決済手数料5%(税別)で、支援額から引かれるので目標に上乗せします。noteの記事(NO WAVE)は予備費を10〜20%としています。
| 項目 | 計算 | 例(ガジェット、最小ロット100個) |
|---|---|---|
| 実施費用 | 製造・金型・検査など | 60万円 |
| リターン費用 | 原価+送料+梱包×個数 | 25万円 |
| 予備費 | 上記の10〜20% | 10万円 |
| 小計 | 95万円 | |
| 手数料の上乗せ | 小計÷(1−手数料率) | Makuake 20%なら 95÷0.8=約119万円 |
この例では、必要経費から出る目標は約120万円です。手数料は「上乗せ」ではなく「割り戻し」で計算しないと、達成しても手数料分が足りなくなります。
計算2 支援者リストから逆算する
公開前に名前を挙げられる支援者を数え、平均支援単価を掛け、その3倍を目標の上限にします。CAMPFIREアカデミーは支援の構成を「友人・知人が3分の1、つながりが3分の1、未知の支援者が3分の1」と案内し、makikubeの記事は平均支援単価を1〜1.3万円、計算式を「支援者数×1万円×2〜3倍」としています。フォレスト出版のnoteも同じ「3分の1の法則」で、支援者リストが目標の3分の1に達しないなら成功確率が下がると書いています。
- 名前を挙げられる支援者が20人、単価1万円なら、20万円が「確実な3分の1」
- その3倍の60万円が、支援者リストから見た目標の上限
- 計算1の120万円と離れているなら、支援者が足りないか、目標を下げて最小ロットを減らす
計算3 初速から逆算する
公開1週間で30%(CAMPFIREアカデミー)、または初日の支援額の5倍(noteの記事)から逆算します。初日に確実に支援してくれる人の額が20万円なら、初速30%の条件を満たす目標は約67万円、初日の5倍なら100万円です。スバキリ商店の体験記は、初日の達成率が5%で、目標500万円・300万円のどちらも届かなかったと書いており、初速から見て高すぎる目標の実例です。
| 計算 | 根拠 | 例の結果 |
|---|---|---|
| 1 必要経費 | 最小ロット+リターン+予備費、手数料で割り戻し | 約120万円 |
| 2 支援者リスト | 確実な支援者20人×1万円×3 | 60万円 |
| 3 初速 | 初日20万円÷30%、または×5 | 67〜100万円 |
3つが揃わないときの選択肢は2つです。最小ロットを減らして必要経費を60〜100万円に下げるか、公開前の集客で支援者リストを40人まで増やすかです。どちらもせずに120万円で公開すると、達成率が伸びずに止まります。
注意 「初速30%」「1万円×3倍」は各記事とプラットフォームの目安で、ジャンルと単価で変わります。自分の過去のSNSの反応や、限定公開URLで見せたときの反応から補正してください。
方式と目標金額の関係
目標金額の決め方は、All-or-NothingかAll-inかで変わります。All-or-Nothingは未達なら不成立で返金されるので、目標を「これ以下では実行しない額」に置きます。All-inは1円でも集まれば成立するので、目標は達成率の見せ方の問題になり、集まった額でリターンを届ける義務を負います。CAMPFIREのヘルプセンターは、All-inは1円以上の支援で成立し手数料がかかると明記しています(2026年9月25日確認)。
All-or-Nothingなら「実行の下限」に置く
最小ロットの製造費+リターン費用+手数料で割り戻した額が、All-or-Nothingの目標の下限です。それ以上に上げると未達のリスクが増え、下げると達成しても実行できません。目標を低めに置き、超えた分をネクストゴール(追加目標)で伸ばす設計が、フォレスト出版のnoteの「10万円目標で953%」の例です。
All-inなら「未達でも赤字にならない設計」を先に
All-inでは目標より、集まった額でリターンを届けても赤字にならない原価設計が先です。リターンの支援額から手数料・原価・送料を引いた残りが、1件ごとに黒字になっていることを確認してから目標を置きます。目標は達成率の見せ方として、計算2か3の額に置きます。
目標金額の設計を頼める会社から3社
目標金額とリターンの設計は、当サイトの支援範囲では「企画・コンセプト設計」(39社)と「リターン設計」(27社)に当たります。両方に対応し、初期費用と成功報酬率の両方を公開している会社は5社です(2026年9月24日時点)。ここでは「定額で相談だけ」「率が低い」「プラットフォームを比較して決める」という3つの見方で1社ずつ挙げます。社名・料金・支援範囲は掲載データの転記で、実績は同社公表値です。

目標金額とリターンの設計だけ、定額で相談するなら
起業サポートセンター東京
東京都 料金 初期 20万円〜
| 対応プラットフォーム | READYFOR |
|---|---|
| 料金(公式サイトの記載) | 初期 20万円〜 |
| 支援範囲 | 企画・コンセプト設計、リターン設計、戦略相談・伴走コンサル |
| 公表実績 | 公式サイトに記載なし |
当サイトのデータで見た根拠
企画・コンセプト設計とリターン設計の両方に対応する会社のうち、支援範囲を企画・リターン・伴走コンサルの3項目に絞り、定額(初期20万円)で公開しているのは起業サポートセンター東京だけです(2026年9月24日時点)。
READYFOR専業で、ページ制作や撮影は含まれません。目標金額・方式・リターンの価格帯を決める工程だけを頼む形です。
実績の公表はありません。定額なので、支援額が大きくなっても費用は増えません。
向いている人
- READYFORで実施する
- ページや撮影は自分でやれる
- 目標金額の根拠を第三者と一緒に作りたい
目標金額の設計は、公開後に直せない数少ない工程です。ここだけ相談する使い方は、費用対効果が読みやすいです。

企画からリターン設計まで、成功報酬率の低い会社なら
hashimoton
記載なし 料金 初期 11万円〜 / 成功報酬 10%
| 対応プラットフォーム | CAMPFIRE |
|---|---|
| 料金(公式サイトの記載) | 初期 11万円〜 / 成功報酬 10% |
| 支援範囲 | 企画・コンセプト設計、ページ制作、撮影・動画、リターン設計、審査対応・申請代行、物流・発送・CS、戦略相談・伴走コンサル |
| 公表実績 | 110件以上、総支援額1億4千万円超(2024年冬時点)(同社公表値) |
当サイトのデータで見た根拠
企画・コンセプト設計とリターン設計の両方に対応し、初期費用と成功報酬率の両方を公開する会社は5社で、hashimotonは初期11万円+成功報酬10%と、率はREDISHと並んで最低、初期費用はFUNDBOOST(9.9万円)に次ぐ水準です(2026年9月24日時点)。
CAMPFIRE専業で、公表実績は110件以上・総支援額1億4千万円超(同社公表値、2024年冬時点)。自社サイトで「審査が通らなくて困っている実行者の方へ」という記事を公開しています。
広告運用と事前集客は支援範囲に含まれていません。
向いている人
- CAMPFIREで実施する
- 目標金額とリターンを、実績のある会社と一緒に決めたい
- 支援額が大きくなる見込みで、率を抑えたい
目標金額を高く置くほど成功報酬の絶対額も増えます。率10%の会社なら、目標300万円で30万円が上限の目安です。

目標金額をプラットフォームごとに比べて決めるなら
FUNDBOOST(ファンドブースト)
記載なし 料金 初期 9.9万円〜 / 成功報酬 15%
| 対応プラットフォーム | CAMPFIRE・Makuake・READYFOR・Kibidango・GREEN FUNDING |
|---|---|
| 料金(公式サイトの記載) | 初期 9.9万円〜 / 成功報酬 15% |
| 支援範囲 | 企画・コンセプト設計、ページ制作、撮影・動画、リターン設計、審査対応・申請代行、事前集客、クラファン後のEC・卸、戦略相談・伴走コンサル、インフルエンサー・SNS施策 |
| 公表実績 | 達成率1700%(同社公表値) |
当サイトのデータで見た根拠
企画・リターン設計に対応する会社のうち、5プラットフォームに対応し料金を公開しているのはFUNDBOOSTだけです。伴走プランに「訴求整理・リターン設計アドバイス」が含まれると公式サイトに記載があります(2026年9月24日時点)。
料金はページ制作のみ9.9万円、伴走16.5万円+20%、集客強化24.2万円+15%です。
件数・金額の公表実績はなく、「達成率1,700%」(同社公表値)の記載だけです。
向いている人
- プラットフォームによる手数料の差(12〜20%)まで含めて目標金額を決めたい
- 工程を絞って定額で頼みたい
- 公開後のEC・卸まで見据えている
目標金額は手数料の分だけ上がります。Makuakeなら20%、CAMPFIREなら17%を必要額に上乗せするので、プラットフォーム選びと目標金額は同時に決めてください。
自分で決めるか、代行に頼むか
目標金額を自分で決められるかは、3つの計算に使う数字が手元にあるかで決まります。最小ロットの見積もり、支援者リスト、過去の反応があれば自分で決められます。数字がない、または3つの計算が大きく離れて判断できない場合は、企画・リターン設計を支援範囲に含む会社に、その工程だけ相談する形が費用対効果を読みやすいです。
自分で決める人
- 最小ロットの見積もりと原価・送料が出ている
- 名前を挙げられる支援者を数えられる
- 過去のSNSや限定公開での反応がある
3つの計算を表にして、離れている理由を直してから公開してください。
依頼を検討する人
- 初めてで、支援単価や支援者数の見当がつかない
- 3つの計算が2倍以上離れて、どちらに寄せるか決められない
- 過去に未達で終わり、目標の根拠を作り直したい
企画とリターン設計の両方に対応する会社を企画対応39社から絞ってください。
よくある質問
クラウドファンディングの目標金額について、検索や問い合わせで多い疑問を4つにまとめました。数値は出典の記事とプラットフォームの案内に2026年9月25日時点で記載されていた目安、当サイトの社数は掲載52社の2026年9月24日時点の集計です。
クラウドファンディングの目標金額の平均はいくらですか?
ワタシバの記事はCAMPFIREの単純平均調達金額を約95万円、FUNDBOOSTの記事は目標金額の平均を約150〜200万円としています。ジャンルで差が大きく、ガジェットは200万円前後、イベントや書籍は30〜150万円が相場の目安です。
目標金額はいくらから設定できますか?
プラットフォームの下限は小さく、10万円台の目標で達成しているプロジェクトもあります。下限より、必要経費を手数料で割り戻した額と、支援者リスト×単価×3倍のどちらが小さいかで決めてください。
目標金額を超えて集まったらどうなりますか?
超えた分もそのまま受け取れます(手数料は総額にかかります)。達成後にネクストゴールを設定して伸ばす設計が一般的で、リターンの数量上限と製造の追加ロットを先に決めておく必要があります。
目標金額は公開後に変えられますか?
原則として変えられません。プラットフォームによっては下げる変更を受け付ける場合がありますが、支援者に見える形で残ります。公開前に3つの計算で決め切ってください。
まとめ
クラウドファンディングの目標金額は、必要経費を手数料で割り戻した額、支援者リスト×単価×3倍、初速30%からの逆算の3つを突き合わせて決めます。3つが離れているなら、最小ロットを減らすか支援者リストを増やしてから公開してください。All-or-Nothingなら実行の下限に、All-inなら赤字にならない原価設計を先に置きます。数字が手元にない場合は、企画とリターン設計に対応する会社に、その工程だけ相談する形が現実的です。
出典
- CAMPFIREアカデミー「クラウドファンディングのやり方」(2026年9月25日確認)
- CAMPFIREヘルプセンター「手数料について」(2026年9月25日確認)
- 株式会社マクアケ「手数料改定のお知らせ」(2026年9月24日確認)
- ワタシバ「クラウドファンディングの平均支援金額とは?」(2026年9月25日確認)
- note「クラファン目標金額の決め方完全ガイド」(2026年9月25日確認)
- makikube「クラウドファンディング「目標金額」はどう決める?」(2026年9月25日確認)
- FUNDBOOST「クラウドファンディングの目標金額設定をするポイント3つ」(2026年9月25日確認)
- foundplanner「失敗事例から学ぶ、クラウドファンディングの正しい金額設定」(2026年9月25日確認)
- フォレスト出版「失敗する目標金額、成功する目標金額」(2026年9月25日確認)
- スバキリ商店「クラウドファンディング挫折体験記」(2026年9月25日確認)
