クラウドファンディングの勘定科目と仕訳|購入型は前受金→売上

クラウドファンディングの勘定科目は、購入型なら「入金時は前受金、リターンを届けた時に売上」の2段階で処理します。プラットフォーム手数料は支払手数料、代行会社への費用は支払手数料か外注費、リターンの製造費は仕入や製造原価、送料は荷造運賃です。寄付型は受贈益、投資型は資本金、融資型は借入金と、型で科目が変わります。この記事では経理担当者向けに、型別の仕訳例、手数料が差し引かれて入金される場合の処理、未達で返金されたとき、期をまたぐときの扱い、消費税の課税区分をまとめます。税務上の判断は税金の記事と合わせて、税理士に確認してください。
クラウドファンディングの勘定科目は型で決まる
クラウドファンディングの会計処理は、購入型・寄付型・投資型・融資型の4つで科目が違います。マネーフォワードの解説記事、経理プラス、小谷野税理士法人の記事はいずれも、購入型は前受金と売上、寄付型は受贈益(雑収入)、株式投資型は資本金・資本準備金、融資型は借入金で処理すると整理しています(いずれも2026年9月25日確認)。当サイトが扱うのは購入型なので、以下は購入型を中心に説明します。
| 型 | 入金時の貸方科目 | その後の処理 | 消費税 |
|---|---|---|---|
| 購入型 | 前受金(契約負債) | リターン提供時に売上へ振替 | 課税(リターン提供時) |
| 寄付型 | 受贈益・雑収入 | そのまま収益 | 不課税 |
| 株式投資型 | 資本金・資本準備金 | 手数料は株式交付費 | 不課税 |
| 融資型 | 借入金 | 返済と支払利息 | 元本は不課税、利息は非課税 |
購入型が2段階になる理由
購入型の支援金は、商品やサービスをまだ渡していない段階の「前払い」なので、入金時には収益にできません。金融ワークスの記事は、収益認識のタイミングを「入金時点では売上にしない」と明記し、契約負債(前受金)で受けてリターン提供時に売上へ振り替えると説明しています。年度末に入金済みでも未発送なら、契約負債のまま翌期に繰り越します。
寄付型・投資型・融資型の科目
寄付型は対価がないので、法人なら受贈益(雑収入)として益金に、個人なら贈与や一時所得の扱いです。株式投資型は出資なので資本金と資本準備金、プラットフォーム手数料は株式交付費で処理します(経理プラス、マネーフォワードの記載)。融資型は借入金で、利息は支払利息です。
購入型の仕訳で最も多い誤りは、入金時に「売上」で受けてしまうことです。期をまたぐと売上の計上期がずれ、消費税の課税期間も変わります。入金時は前受金で受けてください。
購入型の勘定科目と仕訳例(入金からリターン提供まで)
購入型の基本の流れは、入金時に前受金、リターン提供時に売上、手数料は支払手数料の3本です。プラットフォームからの入金は手数料を差し引いた額で振り込まれるのが普通なので、差引額で受ける仕訳を覚えておく必要があります。以下は支援総額100万円、CAMPFIRE(利用手数料12%+決済手数料5%、税別)の例で、消費税は説明のため省略しています。
入金時(手数料差引後)
CAMPFIREの手数料17%(税別)が差し引かれ、83万円が入金された場合の仕訳です。手数料は費用、支援総額は前受金で全額を負債に立てます。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 普通預金 | 830,000 | 前受金 | 1,000,000 |
| 支払手数料 | 170,000 |
金融ワークスの記事は同じ形(現預金80万/支払手数料20万/契約負債100万)の例を示しています。手数料に消費税がかかる場合は、支払手数料の税区分を課税仕入にします。
リターン提供時
リターンを発送・提供した時点で、前受金を売上に振り替えます。複数回に分けて発送する場合は、発送した分だけ振り替えます。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 前受金 | 1,000,000 | 売上高 | 1,000,000 |
小谷野税理士法人の記事も「普通預金200万/前受金200万」→「前受金200万/売上200万」の2本で示しています。売上の計上日はリターンの引渡日で、入金日ではありません。
代行費・原価・送料の科目
代行会社への費用、リターンの製造・仕入、送料・梱包資材も、それぞれの科目で費用計上します。当サイト掲載52社の代行費は、公開社で初期費用の中央値11.5万円、成功報酬10〜20%です(2026年9月24日時点)。成功報酬は支援総額に率を掛けて終了後に請求されるので、請求書の日付で計上します。
| 費用 | 科目の例 | 計上のタイミング |
|---|---|---|
| プラットフォーム手数料 | 支払手数料 | 入金時(差引) |
| 代行会社の初期費用 | 支払手数料・外注費 | 契約・請求時 |
| 代行会社の成功報酬 | 支払手数料・外注費 | 終了後の請求時 |
| リターンの製造・仕入 | 仕入高・製造原価 | 仕入・製造時 |
| 送料・梱包資材 | 荷造運賃・消耗品費 | 発送時 |
| 撮影・ページ制作・広告 | 広告宣伝費・外注費 | 発生時 |
科目名は会社の勘定科目体系に合わせて構いません。同じ種類の費用を毎年同じ科目で処理することが優先です。
代行会社の成功報酬は「支援総額×率」で終了後に請求されます。前受金を売上に振り替える期と、成功報酬を費用計上する期がずれると、期ごとの利益が歪むので、請求書の日付と提供日を揃えて確認してください。
代行会社の成功報酬は「支援総額×率」で終了後に請求されます。前受金を売上に振り替える期と、成功報酬を費用計上する期がずれると、期ごとの利益が歪むので、請求書の日付と提供日を揃えて確認してください。
注意 仕訳例は各記事の記載を当サイトで整理したもので、会計基準や税務当局の見解を保証するものではありません。収益認識基準の適用や消費税の課税区分は、顧問税理士に確認してください。
未達・返金・期またぎの処理
購入型で気をつける場面は、目標未達で返金された場合、支援者から返品・キャンセルがあった場合、年度末をまたぐ場合の3つです。All-or-Nothing方式で未達なら、CAMPFIREのヘルプセンターの記載どおり支援は支援者に返金され手数料もかからないので、起案者側に入金の仕訳は発生しません(2026年9月25日確認)。
未達で返金されたとき
All-or-Nothing方式で未達の場合、プラットフォームが支援者に返金するため、起案者の口座には入金がなく、仕訳は不要です。準備にかかった費用(撮影・ページ制作・代行の初期費用)は、そのまま費用として計上します。All-in方式は1円以上で成立するので、通常どおり前受金で受けます。
支援者の返品・キャンセル
リターン提供後に返品を受けた場合は、売上を取り消す仕訳(売上高/普通預金、または売上戻り)を切ります。プラットフォーム経由で返金する場合は、手数料の扱いが各社の規約で違うので、返金額と手数料の返還の有無を確認してから仕訳します。
年度末をまたぐとき
入金が今期、リターン提供が来期なら、今期末は前受金(契約負債)のまま貸借対照表に残し、来期の提供時に売上にします。金融ワークスの記事は「年度末に入金済みでも未発送の支援金は、原則として売上ではなく契約負債として繰り越す」と書いています。消費税の課税時期もリターン提供時なので、入金の期で課税売上に含めないよう注意します。
- 今期入金・今期提供 → 今期の売上・課税売上
- 今期入金・来期提供 → 今期は前受金、来期の売上・課税売上
- 今期に手数料差引 → 手数料は今期の費用(支払手数料)
- 未達で返金 → 仕訳なし。準備費用は今期の費用
消費税の課税区分
購入型の売上は消費税の課税売上で、課税のタイミングはリターン提供時です。マネーフォワードと金融ワークスの記事はいずれも、購入型は課税、寄付型は不課税、株式投資型は不課税、融資型は元本不課税・利息非課税と整理しています(2026年9月25日確認)。プラットフォーム手数料と代行費は課税仕入で、仕入税額控除の対象です。
免税事業者の場合
国税庁のタックスアンサーNo.6501は、基準期間の課税売上高が1,000万円以下なら原則として納税義務が免除されるとしています。免税事業者はクラファンの売上に消費税の納税義務はありませんが、支援額を含めた課税売上高が1,000万円を超えた年があると、2年後に課税事業者になります。適格請求書発行事業者に登録している場合は免税になりません。
税込・税抜の処理
リターンの価格は消費税込みで表示するのがプラットフォームのルールで、CAMPFIREアカデミーは送料・消費税込みの金額設定を注意点に挙げています。税抜経理なら、売上計上時に仮受消費税を分け、手数料の仮払消費税と相殺します。税込経理なら、期末にまとめて租税公課で処理します。どちらの方式でも構いませんが、他の取引と揃えてください。
経理担当者のチェックリスト
クラウドファンディングの経理で確認する項目は、方式、入金額と手数料の内訳、リターンの提供日、期またぎの有無、消費税の区分の5つです。プラットフォームの管理画面から支援一覧と手数料明細をダウンロードし、代行会社の請求書と合わせて保管します。仕訳を切る前に、次の項目を上から順に確認してください。仕訳を切る前に、次の項目を上から順に確認してください。
- 方式(All-or-Nothing/All-in)と成立の有無を確認した
- 入金額=支援総額−手数料であることを明細で確認した
- 支援総額を前受金で、手数料を支払手数料で計上した
- リターンの提供日を記録し、提供分だけ売上に振り替えた
- 期末に未提供分を前受金(契約負債)として残した
- 代行費・原価・送料・広告費を科目ごとに計上し、請求書を保管した
- 課税売上高の合計が1,000万円を超えるかを確認した
自社で処理できる場合
- 支援額が数十万〜数百万円で、リターン提供が同じ期に終わる
- 会計ソフトで前受金と売上の振替ができる
- 免税事業者か、消費税の処理に慣れている
この記事の仕訳例と会計ソフトの案内で足りることが多いです。
税理士に相談する場合
- リターン提供が期をまたぐ、または複数回に分かれる
- 返品・キャンセル・未達返金が発生した
- 課税売上が1,000万円を超えそう、またはインボイス登録済み
収益認識基準と消費税の判断は、専門家に見てもらう方が確実です。
よくある質問
クラウドファンディングの勘定科目について、経理担当者から寄せられやすい疑問を4つにまとめました。仕訳例は出典の記事に2026年9月25日時点で記載されていたものを当サイトで整理したもので、会社の勘定科目体系や収益認識の方針によって処理は変わります。個別の判断は顧問税理士に確認してください。
クラウドファンディングの入金はどの勘定科目で処理しますか?
購入型なら前受金(契約負債)です。リターンを提供した時点で売上高に振り替えます。寄付型は受贈益(雑収入)、株式投資型は資本金・資本準備金、融資型は借入金です。
手数料が引かれて入金された場合の仕訳は?
支援総額を前受金で全額計上し、差し引かれた手数料を支払手数料、入金額を普通預金で計上します。例は「普通預金83万/支払手数料17万/前受金100万」です。
代行会社に払った費用の科目は?
初期費用・成功報酬は支払手数料か外注費、撮影やページ制作は広告宣伝費か外注費、リターンの製造は仕入高か製造原価、送料は荷造運賃です。会社の科目体系に合わせ、毎年同じ科目で処理してください。
目標未達で返金された場合はどうしますか?
All-or-Nothing方式なら起案者の口座に入金がないので仕訳は不要です。準備にかかった費用はそのまま費用計上します。All-in方式は成立するので、通常どおり前受金で受けます。
まとめ
クラウドファンディングの勘定科目は、購入型なら入金時に前受金(契約負債)、リターン提供時に売上、手数料は支払手数料の3本が基本です。代行費・原価・送料はそれぞれの科目で計上し、期をまたぐ未提供分は前受金のまま繰り越し、消費税はリターン提供時に課税します。未達で返金された場合は仕訳不要で、準備費用だけを費用にします。方式・入金明細・提供日・期またぎ・消費税区分の5つを確認してから仕訳を切ってください。
出典
- マネーフォワード「クラウドファンディングの仕訳とは?タイプ別の消費税の扱いや会計処理を解説」(2026年9月25日確認)
- 経理プラス「クラウドファンディングの会計処理方法は3種類ある!」(2026年9月25日確認)
- 金融ワークス「クラウドファンディングの勘定科目と仕訳 完全ガイド」(2026年9月25日確認)
- 小谷野税理士法人「クラウドファンディングの会計・税務処理の方法は?」(2026年9月25日確認)
- CAMPFIREヘルプセンター「手数料について」(2026年9月25日確認)
- 国税庁 タックスアンサー No.6501「納税義務の免除」(2026年9月25日確認)
