クラウドファンディングの法律|起案前に知る4つの規制

公開 読了目安 11分執筆 クラファン代行ナビ編集部編集責任者 山田 拓海

クラウドファンディングの法律|起案前に知る4つの規制

購入型クラウドファンディングは「投資」ではなく「モノやサービスの売買」として扱われるため、関わる法律も投資関連ではなく通信販売や表示に関する法律が中心です。具体的には特定商取引法、景品表示法、健康・美容系のリターンなら薬機法の3つが起案者に直接関わり、出資法や金融商品取引法は購入型には原則適用されません。この記事では各法律が何を禁止しているかを条文と公式情報のリンク付きで整理します。個別の企画が法律に触れるかどうかの最終判断は、弁護士など専門家にご確認ください。

クラウドファンディングに関わる法律の全体像

購入型クラウドファンディングでは、起案者がプラットフォーム上でリターンを対価に資金を集めるため、法律上は起案者が「販売業者」としてリターンを販売する取引にあたります。クラウドファンディングとは(仕組み・種類)で説明したとおり、投資型や不動産型は別の規制がありますが、当サイトが扱う購入型は売買契約に近い形として扱われます。この前提から、表示義務を課す特定商取引法、誇大な表現を禁じる景品表示法、健康・美容系の効能表現を規制する薬機法の3つが、ほぼすべての起案者に関わってきます。

起案者が関係する4つの法律

上位の解説記事や法律事務所のブログが共通して挙げているのは、次の4つです。企画の内容やリターンの種類によって関わる法律の組み合わせは変わりますが、特定商取引法だけはほぼすべての購入型クラウドファンディングに関わります。それぞれ所管が異なるため、条文を確認する窓口も変わってきます。

  • 特定商取引法(広告の表示義務、誇大広告の禁止)
  • 景品表示法(優良誤認表示・有利誤認表示の禁止)
  • 薬機法(医薬品・化粧品・健康関連リターンの効能表現の規制)
  • 出資法・金融商品取引法(購入型は原則対象外だが、混同されやすい)

このうち薬機法は健康食品・化粧品・美容機器などのリターンを扱う場合だけに関わり、工作物や食品全般では該当しない場面も多くあります。自分の企画がどれに当てはまるかは、リターンの内容によって変わります。

特定商取引法 表示義務と誇大広告の禁止

購入型クラウドファンディングは、特定商取引法上の「通信販売」に該当します。同法第2条2項は通信販売を、販売業者が郵便その他の方法で申込みを受けて行う商品や役務の提供であって電話勧誘販売にあたらないものと定義しており、インターネット経由でリターンの申込みを受けるクラウドファンディングもこれに含まれます(e-Gov法令検索、2026年9月28日確認)。

広告に表示すべき事項

同法第11条は、通信販売の広告に一定の事項を表示するよう義務づけています。消費者庁の特定商取引法ガイドは、次のような項目を挙げています(消費者庁「特定商取引法ガイド」、2026年9月28日確認)。プラットフォームの入力画面に沿って埋めれば足りることが多いものの、事業者の氏名や住所を省略できると誤解している起案者が少なくありません。

表示区分 表示する内容
対価 販売価格(役務の対価)、送料を含むかどうか
支払 代金の支払時期および方法
引渡し 商品の引渡時期、権利移転時期、役務提供時期
申込み 申込期間の定めの有無、撤回や解除に関する事項(返品特約を含む)
事業者情報 氏名または名称、住所、電話番号(法人は代表者名)

プラットフォームのプロジェクトページには、これらの項目を書く欄が別途用意されていることが多く、審査の過程で不足を指摘されます。事前に一覧を印刷して埋めておくと差し戻しが減ります。

表示が無い場合に問題になりやすい例

同法第12条は誇大広告等の禁止も定めており、消費者庁の特定商取引法ガイドは、事業者名や住所を記載しない、返品や解除の条件を書かない、支払時期や引渡時期をあいまいにする、といった状態を通信販売の表示義務違反として整理しています(消費者庁「特定商取引法ガイド」、2026年9月28日確認)。クラウドファンディングの審査で解説したとおり、多くのプラットフォームは公開前の審査でこの表示の有無を確認するため、審査の段階で不備として差し戻されることがほとんどです。

景品表示法 優良誤認表示・有利誤認表示

景品表示法第5条は、事業者が自社の商品・役務について、実際より著しく優良であると示す表示や、取引条件が実際より著しく有利であると誤認させる表示を禁止しています(e-Gov法令検索、2026年9月28日確認)。この2つはそれぞれ優良誤認表示、有利誤認表示と呼ばれ、リターンの説明文を書くときに関わってきます。

優良誤認表示になりやすい表現

優良誤認表示は、商品やサービスの品質・規格・内容を実際より著しく優れていると示す表示です。景品表示法第5条第1号は、実際のものより著しく優良と示す表示だけでなく、他社の商品より著しく優良と誤認させる表示も対象にしています。次のような書き方は、根拠となるデータや試験結果がない場合に該当するおそれがあります。

  • 実際には確認していない効果を断定的に書く
  • 「業界No.1」「最高級」など比較の根拠を示さずに書く
  • サンプル品と量産品の性能差を説明しない

有利誤認表示になりやすい表現

有利誤認表示は、価格や取引条件が実際より著しく有利だと誤認させる表示です。景品表示法第5条第2号は、実際の取引条件より著しく有利だと誤認させる表示のほか、他社の条件より著しく有利だと誤認させる表示も対象にしています。目標金額を達成した場合のみ適用される割引を常時の価格であるかのように書く、通常価格の設定根拠を示さずに大幅な割引率だけを強調する、といった書き方が該当し得ます。

注意 優良誤認表示・有利誤認表示にあたるかどうかは、表現だけでなく実際の品質や条件との比較で判断されます。本記事の整理は一般的な考え方であり、個別の表現が該当するかどうかの判断は弁護士にご確認ください。

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薬機法 健康・美容系リターンの効能表現

薬機法(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律)第66条1項は、医薬品・医薬部外品・化粧品・医療機器・再生医療等製品の名称、製造方法、効能、効果、性能について、明示的か暗示的かを問わず虚偽または誇大な広告を禁止しています(東京都保健医療局「医薬品医療機器等法(抜粋)」、2026年9月28日確認)。健康食品や美容ガジェットをリターンにする企画では、この条文が直接関わります。

禁止される表現の考え方

薬機法は「明示的であると暗示的であるとを問わず」虚偽・誇大な広告を禁止しているため、断定していなくても、体験談や写真の並べ方で効果を暗示すれば規制の対象になり得ます。医薬品として承認されていない食品や雑貨に対して、病気の治療や予防を連想させる説明をつけることが典型的な違反パターンとして紹介されています。

具体的に注意が必要な表現

一般に薬機法の解説で挙げられる、注意が必要な表現の型は次のとおりです。効果の断定を避けて「個人の感想です」と注記するだけでは対応が不十分とされる場合があり、表現そのものを見直す必要があります。プラットフォームの審査でも、この型に近い言い回しがあると差し戻しの対象になりやすい傾向があります。

  • 「痩せる」「治る」など効能・効果を保証する表現
  • 「シミが消える」など身体の変化を断定する表現
  • 医師や専門家が効果を保証したと誤解させる表現

健康・美容系のリターンは、プラットフォームの審査でも薬機法のチェックが厳しい分野です。表現に迷う場合は、断定を避け「個人の感想です」などの注記だけに頼らず、そもそも保証的な言い回しを削るのが安全です。

出資法・金融商品取引法との境界

出資法(出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律)第2条1項は、他の法律に特別の規定がある場合を除き、業として預り金をすることを禁止しています(e-Gov法令検索、2026年9月28日確認)。この規定から「クラウドファンディングも出資法の届出が必要では」と誤解されることがありますが、購入型はリターンとして商品やサービスを提供する売買契約であり、金銭を預かって金銭で返す仕組みではありません。

購入型は金融商品取引法の対象外

金融庁の認可を受けた自主規制団体である第二種金融商品取引業協会は、クラウドファンディングを投資型と非投資型に分け、モノやサービスの提供を対価とする購入型は「金融商品取引法及び自主規制規則の規制対象となりません」と説明しています(第二種金融商品取引業協会、2026年9月28日確認)。同協会は購入型の規制を特定商取引法のみとしています。

投資型との違い

投資型(株式型・ファンド型・貸付型など)は、出資に対して金銭のリターンを約束する仕組みのため、金融商品取引法の規制対象となり、業として行う場合は金融商品取引業の登録が必要になります。当サイトが扱う購入型とは適用される法律の枠組みが異なるため、混同しないことが大切です。同協会はこの違いを次のように整理しています。

類型 対価 適用される法律
購入型 モノ・サービス 特定商取引法(金融商品取引法の対象外)
寄付型 対価なし 特になし(詐取など個別の犯罪に該当すれば刑法等)
投資型(株式型・ファンド型・貸付型) 金銭・株式等 金融商品取引法(登録が必要)

当サイトで扱うのは購入型のみで、投資型・不動産型・寄付型は対象外です。

クラウドファンディングの法律を自分で確認する人と依頼を検討する人

特定商取引法の表示事項の作成や、リターンの説明文のチェックは、時間をかければ起案者自身でも対応できる範囲です。一方で、複数のリターンや海外発送を含む企画になるほど確認する項目が増え、健康・美容系のリターンでは薬機法の観点も合わせて見る必要が出てきます。

自分で進める人

  • リターンが1〜2種類で説明文がシンプル
  • 健康・美容系のリターンを扱わない
  • 特定商取引法の表示欄をプラットフォームの案内に沿って埋められる

プラットフォームの審査担当者からの指摘に沿って直せば、多くの場合はこの段階で対応できます。

依頼を検討する人

  • 健康食品・化粧品・美容機器などのリターンがある
  • 比較表現や実績の書き方に自信が持てない
  • 審査での差し戻しを減らして公開日を確実に守りたい

審査対応を明記する代行会社15社のように、表示や表現のチェックまで対応する会社もあります。

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よくある質問

購入型クラウドファンディングの法律に関して、起案者からよく寄せられる質問をまとめました。特定商取引法の表示義務、薬機法の効能表現、相談先という3つの疑問に、ここまでの内容を踏まえて答えます。企画を始める前に、一度目を通しておくと不安な点を整理しやすくなります。

個人が起案しても違法になりますか

個人が起案すること自体は違法ではありません。ただし特定商取引法上は個人であっても「販売業者」としての表示義務を負うため、氏名や連絡先などの表示が必要です。プラットフォームによっては個人か法人かで審査項目が変わることがあり、開業届の有無を確認されるケースもあります。

特定商取引法の表示は必ずページに書く必要がありますか

はい。同法第11条は通信販売の広告に一定事項の表示を義務づけており、購入型クラウドファンディングもこれに含まれます。多くのプラットフォームは専用の入力欄を用意しているため、案内に沿って埋める形で対応できますが、公開後に住所や連絡先を変更した場合は表示の更新も必要です。

健康食品のリターンで「痩せる」と書いたらどうなりますか

薬機法第66条1項の禁止する誇大広告に該当するおそれがあります。断定的な効果表現でなくても、写真や体験談の並べ方で効果を暗示する場合も対象になり得るため、表現の見直しか専門家への確認をおすすめします。健康食品や化粧品を扱う企画では、リターンの説明文だけでなくプロジェクトページの見出しやサムネイル画像も同じ基準で確認しておくと安心です。

法律的に不安な場合はどこに相談すればいいですか

条文や公式情報での一般的な整理は本記事のとおりですが、個別の企画や表現が該当するかどうかの判断は、弁護士など専門家への相談が必要です。クラウドファンディングの詐欺で扱った意図的な不履行とは別の論点なので、混同しないよう注意してください。表示や表現のチェックだけを代行会社に依頼するという選択肢もあります。

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まとめ

購入型クラウドファンディングに関わる法律は、特定商取引法(表示義務・誇大広告の禁止)、景品表示法(優良誤認表示・有利誤認表示の禁止)、健康・美容系リターンなら薬機法(誇大広告の禁止)の3つが中心です。出資法や金融商品取引法は、金銭リターンを伴う投資型に適用される規定で、購入型には原則関わりません。表示や表現に不安がある場合は、当サイト掲載52社のうち審査対応を明記する15社(2026年9月28日時点)のような代行会社に相談する方法もありますが、最終的な適法性の判断は弁護士など専門家に確認することをおすすめします。

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