海外クラウドファンディングの始め方|Kickstarter・Indiegogo

「海外のクラウドファンディングは日本から出せるのか」という疑問は、まず対象国の確認で解消できます。この記事ではKickstarterとIndiegogoについて、日本の起案者が利用できるかを公式ヘルプで確認したうえで、手数料と日本国内プラットフォームとの違いを整理します。結論を先に書くと、両サイトとも日本は起案対象国に含まれています。
クラウドファンディングを海外で行うとはどういうことか
クラウドファンディングを海外で行うとは、CAMPFIREやMakuakeのような日本国内向けサイトではなく、Kickstarterやindiegogoといった海外拠点のプラットフォームでプロジェクトを起案し、世界中の支援者から資金を集めることです。国内サイトでも海外在住者からの支援は届きますが、海外プラットフォームを使うと最初から英語圏を中心とした支援者層にリーチできる点が異なります。
海外展開が向くのは、プロダクトそのものに国境を越えて通用する魅力がある場合です。具体的には、デザイン性の高いガジェットやアウトドア用品、キャラクターグッズのように言語の壁が薄い商品や、すでに海外に一定のファンやSNSフォロワーがいる企画が挙げられます。逆に、日本国内向けのサービスや、発送が国内限定でしか成立しない企画は、海外プラットフォームに出しても支援が伸びにくい傾向があります。
「海外向け」と「日本語ページの英訳」は別物です。海外の支援者は日本の商習慣を知らない前提で読むため、リターンの内容や発送時期の説明を、国内向けより具体的に書く必要があります。
海外プラットフォームと国内プラットフォームの違い
海外プラットフォームは通貨・決済手段・審査基準が国内サイトと異なり、公開後の運営もすべて英語でのやり取りが基本になります。CAMPFIREやMakuakeは日本語での問い合わせ窓口があり、決済も国内の銀行振込やコンビニ払いに対応しますが、KickstarterとIndiegogoは主に米ドルなど外貨建てで、クレジットカードやPayPalが支援者側の主な決済手段です。この違いは後述の比較表にまとめます。
海外展開が向くプロジェクトの条件
海外展開に向くかどうかは、商品の魅力だけでなく発送体制と資金の見込みで判断します。国内向けクラウドファンディングの経験があっても、海外発送や外貨建てのリターン設計は初めてという起案者が大半です。公開前に次の3点を確認しておくと、公開後に対応が追いつかなくなる事態を避けられます。
- 海外発送に対応できる配送手段(国際便・EMS等)を確保できているか
- リターンの価格を外貨建てで設計しても採算が合うか
- 英語でのページ制作と支援者対応に割ける時間があるか
いずれも準備段階で見積もりまで取っておくべき項目で、公開直前にまとめて確認しようとすると間に合いません。
Kickstarterは日本から起案できるか
Kickstarterは、起案者として利用できる国をアカウント確認時の本人確認書類の住所で判定しており、日本はその対象国に含まれています。Kickstarter公式の告知記事では、起案者として利用できる国をオーストラリア、オーストリア、ベルギー、カナダ、デンマーク、フランス、ドイツ、ギリシャ、香港、アイルランド、イタリア、日本、ルクセンブルク、メキシコ、オランダ、ニュージーランド、ノルウェー、ポーランド、シンガポール、スロベニア、スペイン、スウェーデン、スイス、イギリス、アメリカの25の国と地域と案内しています(Kickstarter公式ブログ、2026年9月25日確認)。
注意 本人確認書類の住所がこの25の国と地域のいずれかにあることが条件です。プロジェクトの所在地表示は確認後に任意の都市へ変更できますが、本人確認自体は対象国内の住所で行う必要があります。
対象国は次の表のとおりです。地域ごとに分けて確認してください。
| 地域 | 対象国・地域 |
|---|---|
| アジア太平洋 | 日本、香港、シンガポール、オーストラリア、ニュージーランド |
| 北米 | アメリカ、カナダ、メキシコ |
| 欧州 | イギリス、ドイツ、フランス、イタリア、スペイン、オランダ、ベルギー、オーストリア、デンマーク、ノルウェー、スウェーデン、スイス、アイルランド、ルクセンブルク、ギリシャ、ポーランド、スロベニア |
起案者として利用できる国のリスト
上の表にある国・地域以外に住所がある場合でも、対象国で法人を設立するなどの方法で起案できるケースがあると案内されていますが、個人が日本国内の住所のまま起案する分には、この条件を満たしていれば追加の手続きは不要です。日本からの起案自体は特別な許可申請なしに可能で、実際に日本発のプロジェクトも継続的に掲載されています。
日本から起案する際の必要条件(本人確認・住所・銀行口座)
日本から起案する場合、本人確認書類の住所を日本にした状態でアカウントを開設し、決済代行のStripeを通じて本人確認と銀行口座の登録を行います。Kickstarterは日本語でのサイト表示とカスタマーサポートに対応しており、プロジェクトページ自体は英語で書くのが基本ですが、アカウント管理画面や規約の確認は日本語で行えます。銀行口座は日本国内の口座を登録できるため、海外に法人や口座を新設する必要はありません。
Kickstarterの手数料
Kickstarterの手数料は、プロジェクトが目標金額を達成し成立した場合にのみ発生します。集まった金額に対してKickstarter側のプラットフォーム手数料が5%、決済処理を行うStripe側の決済手数料が約3〜5%かかり、合計でおおむね8〜10%が差し引かれる計算です(Kickstarter公式のFees解説記事、2026年9月25日確認)。目標未達で不成立になった場合は、これらの手数料は一切発生しません。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| プラットフォーム手数料 | 集まった金額の5%(成立時のみ) |
| 決済手数料 | 約3〜5%(Stripe、成立時のみ) |
| 少額決済の手数料 | 10ドル未満の支援は5%+0.05ドル |
| 目標未達時 | 手数料は発生しない |
プラットフォーム手数料と決済手数料
プラットフォーム手数料と決済手数料は別立てで計算され、どちらも成立した支援金に対してかかります。10ドル未満の少額支援には割引料金として5%+0.05ドルが適用されると案内されており、多数の少額支援を見込む企画では、この料率差も資金計画に織り込んでおく必要があります。
合計8〜10%という水準は、CAMPFIREの17%(利用手数料12%+決済手数料5%、税別)やMakuakeの20%より低く見えますが、決済がドル建てのため、日本の銀行口座への着金時に為替手数料が別途かかる点は見落としやすいところです。
目標未達時の扱い
Kickstarterは All-or-Nothing(目標達成しなければ資金を受け取らない方式)のみを採用しています。目標に届かなかった場合、支援者への課金自体が行われないため、起案者・支援者とも手数料の負担はありません。CAMPFIREのようなAll-in方式(未達でも集まった分を受け取る方式)の選択肢は、Kickstarterには用意されていません。
Indiegogoは日本から起案できるか
Indiegogoも、起案者向けの対象国・地域に日本を含めています。Kickstarterと同様、起案者の居住地や登録法人の所在地をもとに利用できる国を絞っており、公式ヘルプでは、18歳以上であること、対象国に法的居住地または登録法人があることを条件に挙げています。
対象国としてオーストラリア、オーストリア、ベルギー、カナダ、キプロス、デンマーク、エストニア、フィンランド、フランス、ドイツ、ギリシャ、香港、アイルランド、イタリア、日本、ラトビア、リトアニア、ルクセンブルク、マルタ、メキシコ、オランダ、ニュージーランド、ノルウェー、ポーランド、ポルトガル、シンガポール、スロバキア、スロベニア、スペイン、スウェーデン、スイス、イギリス、アメリカを挙げています(Indiegogo公式ヘルプ、2026年9月25日確認)。
Indiegogoの対象国と条件
条件のうち実務で特に確認が必要なのは、個人として起案する場合、紐づける銀行口座の名義が本人確認を行った本人と一致していなければならない点です。法人として起案する場合は、その法人が対象国に登録されている必要があります。資金の受け取り先がOFAC(米国財務省外国資産管理室)の制裁対象国でないことも条件に含まれており、この点は他の海外プラットフォームでも共通して求められる審査項目です。
Indiegogoの手数料と通貨
Indiegogoの手数料は、集まった金額の5%がプラットフォーム手数料、決済手数料は支援1件ごとにプロジェクト通貨建てで3%+0.2がかかります(Indiegogo公式ヘルプ、2026年9月25日確認)。目標に到達しなかった場合は、決済手数料を含めて一切課金されません。日本の銀行口座を登録した起案者向けの案内ページ(Japanese Yen FAQ)が公式ヘルプに用意されていることから、日本円建てでの資金調達を選べる案内があることがうかがえます。ただしこのページ自体は直接の閲覧がブロックされたため、詳細な条件は起案前にIndiegogoのサポートへ確認してください。
日本国内プラットフォームとの違い
海外プラットフォームと日本国内プラットフォームでは、通貨・為替・配送・関税・言語・決済の6つの面で実務が変わります。CAMPFIREやMakuakeを使った経験があっても、支援金の着金から発送、支援者対応まで一つずつ確認し直す必要があります。どれも公開後に慌てて対応すると支援者への案内が遅れるため、公開前に確認しておく項目です。
| 項目 | 日本国内PF(CAMPFIRE・Makuake等) | 海外PF(Kickstarter・Indiegogo) |
|---|---|---|
| 通貨 | 日本円 | 米ドルなど外貨建てが中心(Indiegogoは条件付きで日本円選択の案内あり) |
| 為替 | 影響なし | 着金時に為替変動と海外送金手数料が発生する |
| 配送 | 国内配送が前提 | 海外発送の送料・梱包・通関書類の準備が必要 |
| 関税 | 発生しない | 支援者の国によって関税・輸入消費税が発生し得る |
| ページ言語 | 日本語 | 英語での制作が基本(日本語サポートは一部あり) |
| 決済手段 | 銀行振込・コンビニ払い等 | クレジットカード・PayPal等が中心 |
通貨と為替リスク
日本国内PFは日本円で完結するため為替の影響を受けませんが、海外PFは支援金が外貨で集まり、日本の銀行口座に振り込む時点で為替レートと送金手数料の分だけ手取り額が変動します。目標金額を円換算で設定していても、公開期間中の為替変動によって最終的な受取額が想定より増減する点は、資金計画に織り込んでおく必要があります。
配送・関税・英語ページ対応
海外の支援者にリターンを届ける場合、国によって関税や輸入消費税が発生することがあり、これを起案者負担にするか支援者負担にするかを事前にページ上で明記しておく必要があります。あわせて、プロジェクトページと支援者への更新情報は英語での作成が基本になるため、翻訳の質が支援の判断材料になります。撮影やページ制作を国内向けに作った後で英語版を別途用意する起案者も多く、この工程を自社で回せるかが海外挑戦のハードルになりやすい部分です。
海外発送で公開前に決めておく項目は、次の3つです。
- 関税・輸入消費税を起案者と支援者のどちらが負担するか
- 発送までの目安日数(国内より長くなる前提で案内する)
- プロジェクトページとリターン更新情報を誰が英語で書くか
注意 為替・配送・関税の扱いはプロジェクトごとに条件が変わります。金額の見積もりは各プラットフォームの最新の案内と、利用する配送業者の見積もりを個別に確認してください。
自分でやるか、海外展開を依頼するか
海外プラットフォームでの起案自体は、本人確認書類と銀行口座さえ日本国内のもので条件を満たせば手続き上は可能です。ただし英語でのページ制作、海外発送の手配、支援者対応まですべて自社で回せるかは別の問題で、ここで工程を切り分けておくと後戻りが少なくなります。国内クラファンの経験があっても、英語対応と海外発送は新しく用意する必要があるスキルです。
自分で進められる条件と、代行を検討したほうがよい条件を整理すると、判断がしやすくなります。国内向けのクラウドファンディング経験があっても、英語対応と海外発送は別のスキルセットが必要になる点が、海外展開特有の分かれ目です。支援範囲は代行会社ごとに違うため、支援範囲(工程)ごとに代行会社を絞り込めるページで、自社に無い工程を先に確認しておくと選びやすくなります。
自分で進める人
- 英語でのページ制作・支援者対応ができる担当者がいる
- すでに海外発送の実績や配送業者との取引がある
- 海外にファンやSNSフォロワーなど既存の支援者層がいる
Kickstarter・Indiegogoとも公開の手続き自体は日本からオンラインで完結します。
依頼を検討する人
- 英語ページの制作・翻訳を任せられる相手がいない
- 海外発送や通関の実務経験が社内に無い
- 国内クラファンの経験はあるが海外は初めて
越境対応を明記する代行会社6社や翻訳対応を明記する代行会社5社のように、不足する工程だけ頼める会社もあります。
海外対応の代行会社を探す
英語ページ制作や海外発送まで任せられる会社を条件で絞り込みたい場合
当サイトでは代行会社52社を、対応プラットフォーム・支援範囲・料金の公開状況で絞り込めます。KickstarterやIndiegogoへの対応を明記する会社も確認できます。
条件で絞り込む海外展開を得意とする代行会社は、当サイト掲載52社のうち越境対応(overseas)を明記する会社が6社、翻訳対応(translation)を明記する会社が5社です(当サイト掲載52社を集計、2026年9月24日時点、いずれも同社公表値)。プラットフォーム別では、Kickstarterへの対応を明記する会社が4社、Indiegogoへの対応を明記する会社が1社にとどまっており、国内PF中心の代行会社52社の中では対応できる会社が限られる分野だと分かります。
よくある質問
海外クラウドファンディングを検討する際によく聞かれる質問をまとめました。ここでの回答は本文で確認した内容の要約で、Kickstarter・Indiegogoの公式ヘルプと当サイトの掲載企業データにもとづいています。個別の条件は各見出しの本文と公式ページで最新情報を確認してください。
Kickstarterは日本語だけで起案できますか
プロジェクトページ自体は英語での作成が基本です。Kickstarterのサイト表示やカスタマーサポートは日本語に対応していますが、支援者の大半は英語圏のため、ページ本文とリターン説明は英語で用意する必要があります。日本語のみのページで公開しても、海外の支援者には内容が伝わりにくくなります。
KickstarterとIndiegogoはどちらが日本の起案者に向いていますか
向き不向きは手数料や目標未達時の扱いで変わります。Kickstarterは目標達成が前提のAll-or-Nothingのみで、未達なら課金が発生しません。Indiegogoは通常のキャンペーンに加えてプレッジマネージャーという継続販売の仕組みもあり、公開後の運用方法の幅が異なります。どちらが向くかはプロジェクトの性質次第なので、両方の公式ヘルプを比較したうえで選んでください。
海外クラウドファンディングは誰でも起案できますか
Kickstarterは本人確認書類の住所が対象25の国・地域のいずれかにあること、Indiegogoは対象国に法的居住地または登録法人があり18歳以上であることが条件です。日本の住所・日本の銀行口座を使う起案者は、どちらの条件も満たしています。ただし資金の受け取り先が制裁対象国に該当する場合など、個別の制限が別途あります。
海外プラットフォームでも代行会社に依頼できますか
依頼できます。当サイト掲載52社のうち、Kickstarterへの対応を明記する会社は4社、Indiegogoは1社、より広く越境対応(overseas)を明記する会社は6社です(2026年9月24日時点、同社公表値)。国内向けの代行会社と比べると対応できる会社は限られるため、依頼する場合は対応プラットフォームを事前に確認してください。
まとめ
KickstarterとIndiegogoは、いずれも公式ヘルプで日本を起案対象国として案内しており、日本国内の住所・銀行口座のまま起案できます。手数料はKickstarterが合計8〜10%程度、Indiegogoがプラットフォーム手数料5%に加えて決済手数料3%+0.2で、どちらも目標未達なら課金されません。日本国内PFとの最大の違いは、通貨が外貨建てになること、英語でのページ制作が前提になること、海外発送に伴う関税や通関の実務が加わることです。
英語ページの制作や海外発送まで自社で回せるなら、日本からオンラインで起案手続き自体は完結します。一方で、この2つの工程がボトルネックになりそうな場合は、越境対応の代行会社6社や、国内向けの豊富な実績を持つクラウドファンディングのやり方9ステップで基礎を固めたうえで、費用感は手数料比較記事もあわせて確認しておくと、海外挑戦を含めた資金計画が立てやすくなります。
